The Route #1「anna magazine編集長の取材日記」

「大人の階段、のぼる」

anna magazine vol.12 "Good old days" editor's note

Contributed by Ryo Sudo

Trip / nov.06.2018



大人の階段、のぼる


道が空いていて思ったより早く成田に到着したので、ちょっと背伸びしてラウンジで過ごしてみることにした。

なるほど、思いのほか便利だ。

とりあえず、ここにいる人たちには「出発までの時間を静かに過ごしたい」という共通の目的があるから、無駄に大声で話したり予想外の動きをする人なんて誰もいないし、焦ってる人もいない。一瞬ここが空港であることを忘れてしまうくらい静かだった。

考えてみたら、空港からひとりきりで出発するのは初めてだ。
あれもしてみたい、これもしてみたい、とかソワソワ考えているうちに、あっという間に時間は過ぎる。4時間も前に空港に着いていたのだけど。

そろそろ搭乗、という時に、いつも通り不安の虫が騒ぎ出してきた。取材の直前はあれこれ細かなことが心配になって、憂鬱な気分になるのだ。どんな小さな取材さえもそうなるのに、今回の取材の終着点が、どんなところかぜんぜん想像もつかないアラスカなのだからなおさらだ。
昨日の夜は気分を出してノーザンライツなんかを読みながら「まあ、いつも通りだね」と旅慣れたムードにひとり浸っていたのに。

そもそも「anna magazineらしい視点を大事にしなきゃ」と気にしすぎて、逆に発想が自由じゃなくなっている気がする。ハワイまでのフライトの間に、何とか頭のスイッチを切り替えなきゃ。
考えてみたら、今までの取材でうまくいかなかったり自分たちが納得いかなかったりしたことなんて、一度もなかったんだし。大丈夫、大丈夫。

ラウンジで日記を書いていたら、いつものペースを少しだけ思い出してきた。
知らない街に行くことと、いつもの取材のメンバーみんなと会えるのが楽しみだ。

とりあえず明日はワイキキでサーフィンだね。

アーカイブ↓
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The Route#3「君たちはくら寿司の店員なのか?」
The Route#4「タランティーノがいるところ」
The Route#5「コンチネンタルブレックファースト」
The Route#6「ポテトサラダ・グレイビーソース」
The Route#7「俺はNHKに出たことがある」
The Route#8「We left my heart in Albuquerque.
The Route #9「プロ給油師、登場」
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