ニューオリンズで見つけたグッドミュージック
New Orleans Music
Contributed by Ryosuke Kimura
Trip / oct.31.2017
先日、とある仕事で初めてニューオーリンズへ行ってきました。
ジャズ発祥の地として有名なニューオーリンズは、ジャズを生み出したと言われるピアニストのジェリー・ロール・モートン、20世紀を代表するトランペッター、ルイ・アームストロングなど、多くの有名ジャズアーティストが生まれた街としても知られています。(※『anna magazine vol.9』P70〜79をチェック)
そんな歴史ある音楽の街を歩いてみようと向かった先はバーボンストリート。多くのバーが軒を連ね、ネオンサインの看板が輝くこの通りでは、現地のバンドマンたちが夜な夜な演奏をしているので、ストリートを歩いているだけでさまざまな音楽が聴こえてきます。ジャズはもちろん、ソウルやブルース、ファンクやガレージロック、はたまたダンスミュージックまで。
振り返れば、宿泊したホテルのロビーでもライブをやっていたし、路上でもバケツをドラムに見立てて音を鳴らしている人もいたし、みんなが自由に音を奏で、街全体に音楽が浸透していると強く感じました。
せっかく来たのだからレコードでも買って帰りたい。それも、ニューオーリンズ出身のアーティストのものを。と思い、最終日に立ち寄ったのが、「NOLA MIX RECORDS」というレコードショップ。
店内にはジャズ、ヒップホップ、ソウルのレコードを中心に、ロックや映画のサントラまで幅広くセレクトされていました。ディグること数分、ふと手に取ったのはドクター・ジョンというアーティストのLP『Locked Down』(2012年)
ジャケ写がかっこよかったことと、プロデューサーを務めるのが僕の好きなブラック・キーズというバンドのメンバー、ダン・オーバックだったことが決め手。「これは期待できる!」と思い購入しました。
帰国後、さっそくレコードに針を落としながらドクター・ジョンについて調べてみると、2011年にロックの殿堂入りを果たした70歳を超える大御所アーティストで、この作品でグラミー賞を受賞していたことを知りました。
体を揺らしたくなるガレージテイストの心地良いバンドサウンドが特徴で、ブルースを感じる渋みのあるベテランの歌声に、ダン・オーバックが集めた若きバンドメンバーのフレッシュな音が見事に重なります。なにより、ニューオーリンズで感じた自由な音楽の空気感が楽曲から伝わってくるのがたまらない。最後の曲が終わる頃には、「あ〜、買ってきてよかった〜」と小さくガッツポーズしてしまうほどで、こういう形で新しい音楽に出会うのもいいもんだなと実感しました。
アメリカの現地で生の音楽に触れ、その地で生まれた音楽を持って帰ってくる。
それがレコードやCD、カセットテープであっても、日本で買ったものよりもずっと愛着が湧く一枚になるのではないでしょうか。さらに言うと、その音楽が旅の思い出を振り返るための大切なモノになるかもしれません。旅を楽しむひとつとして、みなさんにもぜひオススメします。
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Ryosuke Kimura
LUKE magazine副編集長。制作会社Mo-Greenでカタログや雑誌を中心に、広告制作などを行う。音楽と古着をこよなく愛す。好きな食べ物は明太子と梅水晶。